無限抱擁





「祐巳ちゃんっていいよね。誰が仕事教えてんの?」
「…祥子が…指導してます、わ」
「いいよ、今は敬語じゃなくったって。私たち、親友でしょ?」
「ぁ…くぅ…」

くつくつと笑う聖さまに、蓉子が身を捩り。

笑う振動に中心に深々と埋められた指が、蓉子の内を刺激しております。

「ほんと、ご苦労な事だね…友達の下について補佐しながら、使用人の上に立ってさ…」

奥深く埋められていた中指が水音を立てながら出し入れされ、親指が、濡れて膨らんだとても敏感な突起をすりあげたので御座います。

「…そして、こんな風に辱められて。ねぇ?蓉子。よく我慢してるよ」
「…あぁっ!聖…い…っ!」

揺れる腰をグィと突き上げて、更なる刺激を追う蓉子を聖さまは、静かな目で見つめておりました。





時は大正、昭和初期。
デカダン、エロ、グロ、ナンセンス。
女も男に負けじと元気に働き始めたこの時代。

薔薇の館と呼ばれるここ、佐藤邸にもうら若き女性が住み込みながら朝から晩まで行ったり来たり。

佐藤家の娘の聖さまは、彫りの深い秀麗なお顔立ちで女学校でも人気者だった方。
佛蘭西に行かれている旦那様と奥様に代わって家内を仕切られているのは、この聖さま。
其れに女学校で親友であらせられたお二人が聖さまをお助けになられているのです。

けれど、聖さま、想い合った娘との哀しい別れを経験されて、いたくご傷心。

メイド達は聖さまをいたわり癒す為、甲斐甲斐しくお世話しているので御座います。

ええ、朝も昼も夜も。
そして勿論、寝所の中までも。





「ゆーみーちゃん♪」
「ぎゃう!」

新しいメイドの祐巳を聖さま、背後から抱き締め満面の笑み。
この反応が新鮮で、聖さまはこの新しいメイドをいたく気に入っているので御座います。

「ぎゃう、は無いでしょう?ぎゃう!は…。かりにも乙女なんだし」
「お、お嬢様…!」

急にそんな事をされれば誰だって驚きます!と聖さまの腕の中で目を白黒。

其れを見ていた祥子がサァッと青くなり。

「祐巳!聖お嬢様になんて口の利き方を!」
「祥子。構わないから騒がないで。さぁ祐巳ちゃん、出掛けるから、付き合ってくれる?」
「え…」

突然の聖さまの申し出に祐巳は伺う様に祥子を見。
そんな祐巳に祥子は溜息つきつき諭します。

「祐巳。この館では聖お嬢様の云う事は絶対よ」
「そうそう。だから祐巳ちゃん一緒に行こうねー」
「は、はい。解りました、ご一緒させて戴きます」

ぺこりと頭を下げる祐巳に聖さまはご満悦。

「じゃあ着替えておいで。車で待ってるから」
「はいっ」

ぱたぱた走っていく祐巳の背を見ている聖さまに祥子が「申し訳ありません」と頭を深々と下げるので御座います。
其の祥子に聖さまは表情の無い目を御向けになられました。

「何が?」
「私の指導不足であの様な口の利き方を…」
「構わないと云っているでしょう?…あんまり五月蝿いと、今晩の伽の相手は貴方にするわよ?」

聖さまの言葉に青くなりながらも、祥子は「光栄ですわ」と頭を下げたので御座います。





其れから、聖さまのお出掛けのお供に祐巳がついて行く事が多くなり。

其れに気付いた蓉子から、指示を受けた志摩子がそれとなく祐巳に様子伺うので御座います。

「ねぇ祐巳さん、聖お嬢様とお出掛けって何処へ行っていらっしゃるの?羨ましいわ」
「ミルクホォルに連れて行って下さったり活動写真を見せて下さったり!私が甘い物好きと解るとホラ、薔薇の花びらの砂糖漬けを下さったの。お優しい方なのね、聖さまって」
「まぁ…聖さまって呼んでらっしゃるの?」
「あ…、ええ、そう呼ばないとすねてしまわれたの…それからは、ずっと」

志摩子は昨晩の伽の時の聖さまを思い返して不思議な気持。

昨晩の聖さまは志摩子の足を開き、ベッドの端と端とに足を紐で括ると、志摩子の中心の薔薇が羞恥という名の蜜に因って熟れて行く様子をつぶさに観察なさるという事をされていたので。
其れなのに、名前を呼べとすねてしまわれるとは。


志摩子から祐巳の様子を聞いた蓉子は祥子を裏庭へと呼び出し、こう告げたのです。

「祥子、祐巳ちゃんに『指導』を済ませたのかしら?」
「…いいえ…まだです、お姉さま」
「聖さまは祐巳ちゃんに興味を持っているから、そろそろ夜伽に呼ばれるかもしれなくてよ?」
「お姉さま…私には祐巳を『指導』など…。だってあの子はまだまだ無邪気な…」

渋る祥子に蓉子は大袈裟な溜息を。

「…貴方の時の様に、なんの知識もなく体を開かれるよりは良いでしょう?祐巳ちゃんを可愛いと思っているなら尚更よ。『指導』なさい」

いいわね?と蓉子は祥子を抱き寄せると、その唇を甘噛みし、深く口付けたのです。

蓉子は祥子の『姉』ですから。
無理やり聖さまに体を開かれた祥子をいたわり慰め、その体に快楽を教えたのは蓉子ですから。


其れを少し離れた木の蔭で聞いていたのは聖さま。

「成程ねぇ」とその様子を微笑み、眺めておいでだったのです。
口元は微笑んでおりましたが、目には冷たい光が宿っておりました。

「『指導』…って、そんな事まで教えるワケ?」





其の夜。
夜も更けて、祐巳は聖さまからお借りたご本をお返しする為、静まり返った廊下を歩いて参りました。
処々、明かりが灯っているとはいえ、薄暗い廊下。
祐巳は首を竦めながら聖さまのお部屋へと歩を進めておりました。

「…え?」

祐巳はふと、立ち止まりました。
あと少しで聖さまのお部屋、という時に『声』が聞こえたのです。
祐巳は周りをきょろきょろと見回します。

誰もいない廊下。

其の場に佇み、祐巳は聖さまからお借りしたご本をキュッと抱きしめ、耐えるので御座います。

ふと見ると。
聖さまのお部屋のドアがきちんと閉まっておらず、少し開いておりました。
『声』はそこから漏れております。

「…はぁ…ぁ…」

悩まし気なその声に、祐巳はいけないと思いつつも、其のほんの少しの隙間から、聖さまのお部屋を窺ってしまいました。

ああ、なんて事!

生まれたままのお姿の聖さまが。
そして聖さまは、同じ様に生まれたままのお姿でベッドに横たわっている蓉子さまのお御足を開き、其の付け根に顔を埋めておいでに。

「…何から何までお膳立て…本当、いい加減呆れてしまうわ」

聖さまが、怒っていらっしゃる。
お声が今まで祐巳が聞いた事の無い様な冷たいお声。

体を起こすと、聖さまは蓉子さまの開かれたお御足の間にグッと指をニ本差し込まれた。

「っああああ!」

其の秘密の場所から響く水音と、蓉子さまの絶え間なく洩れる意味を為さない、ただ垂れ流される声に祐巳は耳を塞ぎたくなってしまったけれど、目は聖さまの美しいお体から放れず。

そして蓉子さまの揺れる腰の動きに合わせる様に、聖さまの手の動きも早くなっていくのです。

其の内、蓉子さまの体が反る様に動き、高い声が一声、上がったかと思うと、其のまま蓉子さまは、ぐったりとベッドに体を預け、ただ荒い呼吸を繰り返しておりました。

其れを、聖さまは冷たい目で見下ろしているのです。
祐巳はこんな聖さまのお顔を見るのは初めてで御座いました。
だって、いつも祐巳に見せて下さるのは笑顔ばかりでしたから。

祐巳は知らずに座り込んでいた体をそっと起こし、音を立てぬ様にそこから離れました。

聖さまにお返ししようとしていたご本を、其処へ置き忘れてまま。





「余計な事は、しないで」

服を身に纏い、部屋を出て行こうとする蓉子に聖さまは、まだ熱を帯びている素肌に白いシャツを羽織る様にした其の姿で吐き捨てる様に呟かれ。

けれど、其れに蓉子は何も云わずに扉へと。
其の後姿を聖さまは苦々しく見つめております。


「…?」

ほんの少し開いている扉に蓉子はいぶかしく思いながら、取っ手に手を掛けました。

「!…聖!」
「え?」

蓉子の声に聖さまは「どうしたの」と云いつつ扉へと。

「これ…ここに」
「何…、え!?」

其れは確かに聖さまご自身の物。
そして…ご自身があの新米メイドに貸した物で御座います。

「祐巳ちゃん…!」

聖さまは其のご本を手に取り、蓉子の脇を擦り抜けて部屋を飛び出してお行きになられました。
其れはまるで疾風の様に。

後に残された蓉子は、其の後ろ姿を見つめながら、部屋の扉をそっと閉めたので御座います。

…其の時の蓉子の表情は、誰にも伺い知る事はかなわないので御座います。






部屋に辿り着いて、祐巳はまだドキドキ云っている胸に手をあてました。

『見てはいけないものを見てしまった』と、いう思いと、聖さまの白いお体の美しさとが祐巳を混乱させておりました。

そして、自分の体の中心が、妙な熱を持っている事にも気付いてしまい、戸惑っておりました。

「どうしてしまったのだろう…私」

ひんやりとしたシーツに体を横たえると、体の中心がクチ…と何やら濡れている感じがするではありませんか。

祐巳は訳も解らず…けれど聖さまが蓉子さまのその場所を刺激していた事には気付いていたので、そっと、聖さまの手を真似て、其の熱い場所に触れてみたのです。

「ひゃん…っ」

…まるで痺れる様な感じ…

「聖、さま…」

本当はお嬢様って呼ばないといけないのだけど。
でも聖さまから名前で読んでと。
呼ばないと、ぷうっと頬を膨らせてすねてしまわれたりしたから、祐巳は戸惑いながら、『聖さま』と呼ぶ様に。
まるで子供の様にすねる、そんな聖さまが、祐巳には嬉しかったのだけれど。

「聖さま…祐巳は、いったいどうなってしまったの…?」

祐巳は自分の体の変化に戸惑うばかり。
恐くて恐くてたまりません。
聖さま、とあのお方の名に助けを求めるばかりです。

コンコン

扉を小さく叩く音が聞こえ、祐巳はびくりと体を震わせました。

「…祐巳ちゃん」
「!…聖…さま!」

たった今、助けを求めていた、其の人のお声。
其のお声に、祐巳は驚きながらも急いで扉を開いたので御座います。

「聖さま…」

するり、と猫の様に聖さまは祐巳の部屋に入り込み、後ろ手に扉を閉めました。

「これ、持ってきてくれたんだね」
「……あ!」

聖さまが掲げた本を見て、祐巳は其処でやっと自分が置き忘れて来た事に気がつき。
祐巳は先程の怒っていた聖さまのお声を思い出し、自分も叱られるのではと其の身を小さく縮めます。

「…見られちゃった、よね」

予想に反し、寂しい目をする聖さまを見ていられず、祐巳はうつむきました。

「…幻滅、だよね…。言い訳かもしれないけど、でも話、聞いてくれる?ううん、聞いて」
「……はい」

有難う、と云いながら聖さまはほんの少し微笑みをお浮かべになった。
ベッドに祐巳を座らせると、其の隣に腰を降ろされました。

ゆっくりと…聖さまは言葉を紡がれていきます。

「私ね、女学校時代に、すごく仲がいい友達がいたのよ。親兄弟よりも大切で、其の人さえいれば他に何もいらない位好きだった…彼女はシスターになる事を望んでいた、敬虔なクリスチャンだったわ…。でもね、私たちの間の事を知った大人たちによって私たちは引き裂かれてしまったわ。…蓉子たちは其れを知っているのね。私に近付いてくるメイドたちはそれを知っていて、いたわってくれる。気にかけてくれて、慰めてもくれた…でも…いつからかこんな事になっちゃってた…もう、親友ではいられなくなった…」

祐巳は静かに話して下さる聖さまが、とても心に痛く感じておりました。
其のお顔は、とても静かで御座います。
けれど遠くの誰かを見詰める様な…そんなお顔に。

「新しく入ってくるメイドたちにも、私の慰みにと…色々教え込まれていたり、ね。でも…祐巳ちゃんはまだ、何も知らないよね。見てて解ったんだ…周りのメイドたちも、蓉子でさえ祐巳ちゃんを可愛がってる。私も最初に逢った時から祐巳ちゃんが可愛くて…ずっとそのままで、何も知らないままでいて欲しかった。…なのに、蓉子は祐巳ちゃんにまで、其れを教えようと考えていた。悲しかった…そして憤ったわ。なのに…其の私自身が祐巳ちゃんに全てを見せてしまうなんてね…」

ああ、聖さま…!

祐巳は祈る様に組まれている聖さまの震える手を見て、どうしようもない悲しみが伝わってきたかの様に涙が溢れてきたので御座います。

「聖さま…聖さま、もう良いのです。祐巳は…そりゃあ驚いてしまったけれど、でも、幻滅なんてしていません…!」
「祐巳ちゃん…許してくれるの…?」

まるで縋るような目をされる聖さまに、祐巳は組まれている手に自分の手を重ねたので御座います。

「許すなんて…聖さまは何も…!私は聖さまが好きですから…!」

必死になってしまい、支離滅裂な祐巳に、聖さまは笑顔を御向けになられました。

「…有難う…」

聖さまの頭が、祐巳の肩へと乗せられ。

聖さまの髪が頬を撫で、祐巳は先程の言い知れぬ体の熱さが甦るのを感じてしまうので御座います。
ああ、本当に祐巳はどうしてしまったの…?
心臓が早鐘の様に打ち、聖さまに其れが知れるのでは?と気が気ではありません。

ふわ…と、聖さまの美しいお顔が近付き、唇に暖かいものが触れました。

「…え?」

何なのかしら…今の…
唇に触れた暖かいもの。

「私も、祐巳ちゃんの事が、好き」

まるで、泣き出しそうな目で聖さまが云います。

「どうして、そんな目をなさるんですか…?何が悲しいのです…?」
「…祐巳ちゃんが好き…なのに…なのに…私は…」

聖さまの腕が祐巳の体をゆっくりと包み込むので御座います。
けれど、その腕は微かに震えているのです。

「聖、さま」
「私は…祐巳ちゃんに触れて、穢してしまう…」

何故か、祐巳は聖さまが望んでいる事を、すんなりと体に染み入る様に感じたので御座います。

祐巳の体が熱いとの同様に、聖さまもそうなのだ、と。
この抱擁が、無限に続けばいいと、思ってくれているのではないかと。

「聖さま…」

愛しい名を呼びながら、祐巳は聖さまの背に手を回すと、聖さまは愕いた様な目を向けたので御座います。
其のお顔を、涙しそうになりながら、見つめておりますと、聖さまも、どうにもならないものに動かされる様に、祐巳にお顔を寄せてきたので御座います…。






どうしよう…どうしよう…

祐巳は聖さまの唇をその身に受けながら、目をギュッと瞑っております。

目を瞑っていても、自分の体の何処を唇が辿っているか、解ってしまいます。

あ…あ…聖さまの…唇が…あ、恥ずかしい…そんな処…!

ゆっくりと聖さまは小さなその二つのふくらみの片側に唇を触れさせ、つん、と色付いて上を向いているものに舌を這わせたので御座います。

「あ…っ…!」

急に飛び出した声に驚いて、祐巳は両の手で口を押さえます。

そんな祐巳に聖さまは微笑みを浮かべた様に感じました。
フッという軽い息が、祐巳の肌に吹きかかったものですから。

聖さまの手がするりと祐巳のお腹を撫でて下へと降りていきますが、唇はまだ片方のふくらみの所にいて、色付いた其れを銜え込みました。
そして軽い音を立てながら舌で刺激を繰り返すので御座います。

「…っ…ぅんっ…」

手で押さえていても、くぐもった声が指の隙間から漏れてしまいます。

聖さまに、聞かれてしまう…!

恥ずかしくて、このまま心臓が止まってしまうんじゃないかという位ドキドキして。

「祐巳ちゃん、いいの。我慢しなくていいんだよ。声出して。苦しいでしょう?」
「や…ぃやで…ひゃぁ!」

手が緩んだ途端、聖さまの手が内腿に滑り降りて。
そしてこともあろうか下着の縁に指を。

「せ、聖さま…!?」
「そうだ、ねぇ祐巳ちゃん、あの本、面白かったでしょう?」
「え?」

急に聞かれて、祐巳を意識がほんの少し殺がれた時。

「…!」

突然の感触に祐巳の目が見開かれ、まるで息が止まるのではないかと言う様な衝撃が祐巳の背筋を走り抜けたので御座います。

「ふああっ!」

しっとりと濡れたその布に出来た窪みを、聖さまの指が撫で上げたのです。
もう其の布にまで透ける位、小さな小さな祐巳自身がぷっくりと膨らんでおります。

けれど急に其れに触れてしまえば、本当に祐巳の心臓は止まってしまうかもしれません。

聖さまはその回りを布越しにゆっくりを指を触れさせております。
其れだけでも、祐巳の秘めやかなその部分の湿り気が増して行くので御座います。
聖さまは其れを指に感じながら、愛おしさに性急に求めてしまいそうなご自分を諌めるのです。





「っ…あ…っん」

祐巳の唇から押さえ様の無い声が絶え間なく漏れ始めております。
聖さまの唇や指の動きに集中し始めた祐巳はもう何も考えられなくなってきているのです。

もう少し…

聖さまはゆっくりと唇を下へと滑らせて行きながら、手は其の小さな布を引き下げました。
そして聖さまはそっと足の間にご自分の足を置き。

これで祐巳の足はこれ以上は閉じられません。


「ああっ!」

ビクン!と祐巳の体が跳ね上り。

「か…はっ…!はぁん!せ…い…さま…!?」

いつの間にか開かれていた足を閉じようとするのですけど、聖さまは其れをご自分の足で阻止なさっております。
うっすらとした繁みを分け入り、聖さまの指は小さな祐巳自身に指を這わせて小刻みに刺激していたのです。

泉の入口から溢れる蜜が絡んで指の動きにあわせて其れも上下に動き、其れがまた祐巳に譬えようの無い刺激を与えておりました。

「やぁ…あ、あ、ああっ!ふぁっ!あーっ!」
 
暴れたかと思うと、強張った体から力が抜けた。
初めての行為に敏感な体が、刺激に耐えられずに達したのでしょうか。

「せ…い…さまぁ…」

荒い息を繰り返す祐巳の唇をついばむ様に口付けると、力が抜けた体をゆっくりと開いたので御座います。

「!聖さま…っ」
「見せて、祐巳ちゃん」

力の入らない足を閉じようとするのですが、敵わず。

まだ、誰も…祐巳自身すら目にしていない、その場所。
肉を分け、小さな其の部分を指でゆっくりと撫で上げていくと、達したばかりの体にまたも熱が。

「あぅ…いや…聖さま…はぁぁ…んんっ」

灯りの無い、月明かりだけの部屋の中でも、其の部分は濡れ光っている事は一目瞭然。

「綺麗だね、祐巳ちゃん…」
「やだ…やだよぅ…ひっ!あああっ!」

一際高い声が。
聖さまは小さな其れに、ちろりと舌を這わせたのです。

祐巳の脳裏に、先程の聖さまと蓉子さまの姿が急に思い浮かびました。

ドキンと心臓が大きく跳ね上がり、体が震え。

「感じるの…?急に溢れてきた」

先の出来事と同じ事を聖さまが祐巳に…
でも聖さまのお声は酷く優しく、祐巳を舐め上げる舌も優しくて。

「あ…っあっ」

泉の入口にも舌が滑り降りて。

溢れる蜜を舐め、そしてうっすら開き掛けている入口に細く舌を差し入れてくる。
其れが恥ずかしくて祐巳は死んでしまいそうな程。

そんな恥ずかしさが、押し寄せてくる波に掻き消されていく。

揺れ始める腰に、聖さまは入口に指を添えるのです。

小さな其れに舌を。
入口にはひんやりとした指を。

「あ…うん…っ!」

するりと入り込んできた、冷えた指にきゅっと泉の入口が其れを締め付けて、聖さまを喜ばせます。

「は…っう…聖…さま…っ」

指を動かすと、愕くほどに響く水音。
其の音すら、祐巳の快感を高める小道具の様に、聖さまはわざと音を立てる様に大きく指を出し入れ始めております。

「ごめん…祐巳ちゃん…もう、余裕、ない…」
「え、あ、ひっ…!」

祐巳の反応全てが聖さまを高めていきます。
祐巳の声が聖さまの中の火に勢いを加えていきます。

初めて人と肌を合わせる祐巳の為、出来るだけゆっくりと、出来るだけ恐がらせない様にと、自分を抑えてきたというのに。


荒く祐巳の唇を塞ぎ、聖さまは細い指を2本に増やすと聖さまの指を待ち受け震える其の入口にゆっくりと差し入れていきました。

「ぅん…!」

塞がれている唇からは呻きにしかならない声。

舌を絡め取られ、内には指。
しかも其の指は内で妖しく蠢いていて。

祐巳の手が助けを求める様に空に伸ばされました。
其の手を掴み、しっかりと握ると、更に内の指の動きを速めていくのです。
唇が、銀糸を引きながら離れると、途端に祐巳の嬌声が上がりました。

「ああっ、んっ、も…や…!せ…!」

首を仰け反らせ、体を震わせている祐巳に聖さまは微笑みました。

内側を刺激する指がとある場所を探り出し、其処を強く刺激した時。
祐巳は声にならない声をあげて、内にある聖さまを締めつけたのです。






「ゆーみーちゃん♪」
「ぎゃ!」

新しいメイドの祐巳を聖さま、背後から抱き締め満面の笑み。
この反応が新鮮で、聖さまはこの新しいメイドをいたく気に入っているので御座います。

「ぎゃ、は無いでしょう?ぎゃ!は…。かりにも乙女なんだし」
「聖さま…!」

急にそんな事をされれば誰だって驚きます!と聖さまの腕の中で目を白黒。

「ねぇ…ほんとにさ、そろそろ慣れてよ。抱きつくたびに叫ばれたんじゃ…其れに、其の『聖さま』ってのも何とかならないものかな」
「…だって…あっ、ちょっ…聖さま!」
「ほらまた…」

そんな事を云いながら聖さまの手が祐巳のレェスのついたブラウスの中へと。

「止めてくださいってば聖さま!そんなに私、体が持ちません!」
「いいじゃない…ご奉仕させてよ」

其の聖さまの言葉にサァッと顔が青くなる。
メイドの自分がご主人である聖さまに『ご奉仕』だなんて、誰かに聞かれでもしたら…

「はいはい、そこまでにして頂戴」

パンパン、と手を打つ音に祐巳は弾かれた様に聖さまから離れ。

「…蓉子〜」
「ほら、まだ仕事している祐巳ちゃんの邪魔はしないの!ケジメってものをつけなさい、聖!」
「何?其の口の利き方…仮にも私は」
「親友でしょ?貴方の」

ふふん、という顔をする蓉子に聖さまはグッと苦虫を潰した様な顔をすると、祐巳の耳元に唇を寄せて「今晩も寝かさないから」と恐ろしい言葉を残して書斎へと向われて行きました。

「さ、祐巳ちゃんも仕事仕事!祥子が鬼の様な顔で探していたわよ」
「ひぇっ!有難う御座いました、蓉子さま!」

うわぁぁ、と慌てながら祐巳が廊下を駆けていきます。



蓉子は其の後ろ姿をほんの少し、痛みの混じった目で見詰めておりました。
けれど、其の「痛み」は直ぐに消え、そっと微笑むと小さくなっていく背中に呟きかけたので御座います。


「…有難う」






後書き

す、すいません…ぬる過ぎです…せっかくの時代背景も台無しです…
でも初めて書いた「そういう」シーンなの何卒お許し下さい(汗)
普段シリアスばかりなのでこんな感じになってしまいまして…もう少し突き抜けてみたかったのですが。
うう、ごめんなさい桜沢さま(ひたすら土下座)